so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
ファルを走らせているあいだ、リヴァイは馬車の中を横見する。そこには心底安心したように眠っているジゼルが居て、それとは裏腹にアルミンは外の様子が気になるのかリヴァイと目を合わす。その視線が大丈夫ですかと聞いているのが分かり、リヴァイは目を細めた。
誰を心配している、と。それを読み取ったのかアルミンはほっと安堵の息を零しジゼルを見る。リヴァイもそれを追うようにしてジゼルを見詰めれば不意に出る小さな笑い。出会ってまだ数時間も経っていないというのに安心したようにして馬車に身を預けて眠るジゼル。こいつは警戒心の欠けらも無いのかと眉根に皺を寄せる。
だが顔馴染みのミカサとアルミンがいたお陰でこいつは身を委ねてくれるのだろう、と小さく息を吐いたリヴァイはファルの腹を蹴り前線へ出て辺りを見渡した。もう、すぐ着く。
「……ほ、ほ、ほ、ん、と 」
「クソ眼鏡、言いたいことがあるならちゃんと言え」
「だだだだだ……っ」
「おい、エルヴィン。こいつの脳味噌は遂にイカれたのか?」
「……」
「……てめえまで、」
無事に調査兵団組織に着き、馬車で眠っていたジゼルを起こしたアルミンとミカサがジゼルと共に団長室へと向かう。リヴァイの部下達には今日1日休みを与えて部屋で眠るように伝えた。キョロキョロと辺りを見渡すジゼルにリヴァイは片眉を上げる。
「平然としておけ、目立つ」
「す、すみません…」
ああ、こんな事が言いたいわけではなかったのに、とよくわからない感情が自分の体のあらゆるものを支配していく。ジゼルの申し訳なさそうな、肩を落としシュン、としている姿から目を逸らしたリヴァイ。ミカサはそんなリヴァイに小さく舌打ちを、アルミンはリヴァイが不機嫌な理由がわからなくて顔を俯ける。
ジゼルといえば珍しくて仕方が無いのだろう、何十年ぶりにでた地上に壁外へ出て巨人と戦う調査兵団本部を目の前にして平然として入れるはずもなく高鳴る胸元を掴む。
「あのチビは放っておけばいい」
「……っ?!」
小さく耳打ちしてきたミカサにジゼルは目を見開く。その言葉もアルミンも聞き取ったのか青ざめた顔で首を横にブンブン振っていた。リヴァイといえばミカサを睨みあの根暗野郎、処罰も検討しておくかと三白眼を細めながら考える。