so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
幼き頃、もう消えかかっていた記憶。それはアシュリーがジゼルに難しい話をしている記憶だった。なにやら大きな機械を持ち上げて細かく繊細に手入れしていく父に酷く憧れていたのを思い出す。当時、その話をすると決まって明け方まで付き合わされていた。
そんな父の話を左から右に聞き流していたジゼルだったがミカサの太腿に設置されてあるあの時とおなじ機械を見て息を飲む。まさか、父の作っていたものが調査兵団や憲兵団、駐屯兵団に渡っていたとは夢にもおもわなくて。不思議と頬が緩む。
「それは誠か?ジゼル」
「はい、まだ記憶が曖昧ですが多分…立体機動装置を触らせて頂ければ何かを思い出すかもしれません」
「……流石、アシュリーの娘じゃ。ならジゼル。お主に人類の希望を求めても良いか?」
「が、頑張ります!」
「……話は決まったな、リヴァイ。お主はジゼルを調査兵団まで連れて帰りこのことをエルヴィンに報告するのじゃ。調査兵団には開発部と技術部があったはずだから彼らがジゼルの力となってくれよう」
「……分かっている」
リヴァイはジゼルから視線を逸らすようにしてそう返事する。人類最強の、否、冷徹で普段のリヴァイとは思えないその表情を見てピクシスは意地らしく笑う。いつも無表情なリヴァイがジゼルを目にしただけでここまで取り乱すとは。
これはまた酒の場での話のネタになりそうだ、とピクシスは意味深な笑みを浮かべるのであった。それを見抜いたリヴァイは居心地の悪さなのか大きく舌打ちをすると今度こそ部下達に目配せをして真っ白な空間から踵を返していった。
「では、ピクシス司令、我々も失礼致します」
そう言ったリヴァイの部下達は敬礼し、ピクシスが頷いたのを確認してから踵を返していく。そんな中、
「……ジゼルよ」
「はい」
「何年ぶりじゃ」
「…」
「地上に出るのは」
「……詳しくは覚えてませんが、十数年振りかと…」
「そうか、すまなかったのう、地上に馬車を用意させてある。久しぶりの地上なら一気に疲れも出るだろうり、そこでゆっくり眠るが良い」
「あ、ありがとうございます、ピクシス……司令」
ぎこちなく頭を下げるジゼルにピクシスははっは、と笑う。なんと愛らしいことか。
「辞めんか。お主は儂の娘同然。今まで通りの呼び名で構わんよ」
そう言ってジゼルの頭を撫でればジゼルは嬉しそうに笑う。