so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
そんな愛くるしいジゼルにピクシスはちくりと胸が痛んだ。如何してこんなにも純粋な彼女を此処に置き去りにしてしまったのだろう、とあの時の自分をこれでもかと言うほど憎み、恨む。この子の性格上ピクシスを殺して無念を晴らすという行動には出ないと分かってはいたが、どうせなら一層のこと殺して欲しかったというのも事実。
そんなピクシスに気づいてなのかジゼルはピクシスの皺の増えた手を両手で握る。
「ピクシスさん、どうけ気になさらないでください。この数年間、耐えてきて良かったと心からそう思っています。何より、ミカサやアルミンにも再会できて人類の希望になれる、そんな夢みたいなことが実際起きている、それだけであたしは……幸せです」
そう言って満面の笑みで微笑んだジゼルを見てピクシスは少し涙ぐむ。この子はこんなに強い精神の持ち主だったか、と記憶を辿るがきっとここでの生活が彼女をそうさせてしまったのだろう、と目を伏せる。
「……ありがとう、ジゼル」
ピクシスは最後の最後に頭を下げる。ジゼルは辞めてください!と焦っていたがその顔はとても幸せそうで。この真っ白な空間に包まれながらもピクシスとジゼルの会話を聞いていたリヴァイが宙を見上げた。どこもかしこも真っ白で同じ風景、ここは地下街と大して変わらないのに対し彼女はこの空間と同様、何処も汚れてはいない。
果たして自分の周りにこんな純潔そのものの心を持った人間がいただろうか、と遠い記憶を辿る。が、それは無意味に終わった。彼女といると浄化されたような気がする、と言ってしまえばそれは綺麗事になるのだろうか。
でも、
それでも、
願わずにはいられなかった。
精神的にも体力的にも容赦なく破壊するこの空間で彼女は独りで育った。それなのに幸せそうに笑みを浮かべて、それは優しくまるで彼女自身があの時、あの頃、地下街でゴロツキをしていた自分が求めた太陽の様だと、そう思った。
「リヴァイ兵長?」
リヴァイの部下の声ではっと我に返る。らしくねえな。柄にもなくそう思えた自分に驚きを隠しつつもリヴァイは地上に上がるべく果てしなく長い階段を登った。
容赦なく照らす太陽、眩しい光に目を細める。地下街よりも地獄に等しいこの場所から彼女が上がってくるのを待っていたリヴァイは彼女の金髪の髪が日光に照らされ地上に舞い降りたのと同時に
「綺麗だ」
目を細めた。