so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
「ジゼルよ」
「……?」
ジゼル、ミカサ、アルミンで抱き合っていた3人のあいだに聞こえたピクシスの声に顔を上げる。ピクシスはジゼルの今までの過酷な生活とこれからの幸福で満ち溢れた生活を思い描きすう、と息を吸って吐き出す。
「お主、アシュリーが遺した新型立体機動装置の設計図を持っているのかのう?」
その言葉に少しだけ雰囲気がピリ、と張りつめた。あのリヴァイでさえも三白眼の鋭い眼光をジゼルに向ける。ジゼルは初めてその時リヴァイと視線が合う。棘のように尖った眼光、その眼光からは果てしない威圧感を感じさせた。冷徹なその表情に自分の喉がゴクリ、となるが不思議と恐怖はなくリヴァイに向け小さく微笑む。
その姿をみたリヴァイが再度目を見開く。自分を視界に入れたジゼルはただただ微笑む。その意外な行動にリヴァイは息を飲む。それしか彼は知らなかったのだ。この忙しなく響く気持ちを追い払う意味を。術を。
「新型立体機動装置…それがどう言ったものなのかは存じ上げてはいませんが、昔父に何かの設計図を託された記憶はあります」
「おい、それはどこにある?」
「これ、リヴァイ。相変わらず忙しい男だな」
「……うるせえよ、クソジジイ」
「……その設計図はもうあたしの手元にはありません」
俯いたその表情はわからない。がその言葉にミカサとアルミンは目を見開いて顔を見合わせる。ジゼルの絹糸のような綺麗で繊細な髪がジゼルの肩からさらり、さらりと落ちていく。その美しい様子に息を飲めばリヴァイはチッ、と舌打ちを零す。
「結局、無駄足か」
冷たくそう言い放ったリヴァイは部下達に目を配らせ帰るぞとでも言うかのようにして踵を返す。小柄な彼のその雰囲気に胸が締め付けられたジゼルはその小さくてどこか果てしなく大きなものたちを背負っている背中を見詰めていれば、コホン、とピクシスが咳払いをした。
「リヴァイ、ジゼルはどうする?」
「あ?新型の設計図がないなら話にならないだろう。このガキを持ち帰ったところで調査兵団組織の荷物でしかない。…足でまといになる存在なら、必要ない」
そうピシャリと言い放ったリヴァイにミカサはメラメラと今からでもリヴァイを刺し殺すかのごとく立体機動装置のアンカーを力強く握る。「あのチビ…」とブツブツ文句を言い続けるミカサに恐怖を感じたジゼルは大きな目をさらに大きくさせる。