so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
そして瞬時に目を見開いた。ジゼルの瞳からは止め止めなく涙が溢れる。ずっと、ずっと密かに気になっていた。ピクシスからウォール・マリアが突破されたと聞いたと同時に脳を過ったのは幼い頃、ジゼルとよく遊んでくれていたある三人の子供達だった。その中の二人がいまこうしてジゼルの名前を呼んで涙を流してくれている。
自分を思ってのその涙に耐えきれなくなったジゼルはこの数年間耐え抜いて来てよかったと酷く安堵した。そして、それは涙となって頬を幾度となく流れ落ちる。
「ミカサ、アルミン…」
「僕達の名前を覚えてくれてるの?」
「……貴方達はあたしの唯一のお友達だったから」
「……ジゼル」
ミカサの声は悲痛そのものであった。が、ジゼルは涙を拭いもせずにニッコリ、と微笑む。
「ミカサ、アルミン、久しぶりだね」
その優しい笑顔にピクシスはアシュリーのしたこの行動の意味を見出そうとしていた。まるで穢れも知らないこの子に何故、アシュリーはこんな酷な生活を虐げさせたのだろう、と。
ミカサとアルミンは顔見知りもあってなのかジゼルの元へと向かい自分達よりも小さな体に抱き着く。力一杯、生きていて良かった、と噛み締めながら。
「リヴァイ」
「……なんだ」
「ジゼルを連れてどうする気じゃ?エルヴィンは何を考えておるのか聞きたい。それによってこれからのジゼルの生活を決めたい」
「…エルヴィンはこのガキが持つ新型立体機動装置の設計図が欲しいらしい。俺にもよく分からんが」
「ほう?アシュリーがジゼルにそんなものを。してその情報をどこから手に入れたのじゃ?」
「ハンジが王都で持って帰ってきた本に書かれていたらしい。クソみてえな話だと思ったがまさか、」
「本当に実在しているとは夢にも思わんかったか」
そういったピクシスにリヴァイは押し黙る。実際、信じてはいなかった。もし本当だとしてもその子供はもうとっくに死んでいると思っていた。だからこそ、この作戦に乗り気ではなかった。
でも、
此処に、この異様な空間に彼女は居た。
「リヴァイ、そんなに見詰めんでも良い。ジゼルが美しいのは今に始まったことではあるまい」
「……クソジジイ、とっとと死にやがれ」
「ほっほっ、儂は美人の巨人に出会うまでは死ねんわい」
「チッ」
顔を背けたリヴァイの端正な横顔を見ながらピクシスは思う。