so ist es immer【Levi dream】
第4章 intertwined feelings
ハンジが忙しなく動く中、ジゼルは困ったような笑みを見せ一人一人に小さく頭を下げていき握手をする。律儀な彼女の対応に貴族の男達はほう、と幸せそうな息を吐いた。
「はは、ジゼルは人気者だな。」
「同感です。ここまでジゼルが貴族の方々を虜にさせてしまうとは思ってもいませんでした。想像以上です。」
ヴェルディの言葉にエルヴィンが返す。ヴェルディは白髭を撫でながら遠くから見ても美しい雰囲気を醸し出すジゼルを眺め赤ワインをひとくち口に含んだ。
「レヴィとの結婚をと思っていたが私の知らない間にレヴィにも観察力が備わっていたか、レヴィも言ったとは思うがエルヴィンとこのリヴァイ兵士長は随分とジゼルを贔屓しておるな?」
「お気づきでしたか。まあ本人はまだ認めてはいませんが。いずれは、と思っています。」
「人類最強と謳われているリヴァイ兵士長の事だ、何がなんでもジゼルを守るだろう。どうやらジゼルも満更でもないらしい。そうは思わんか?」
「はは、流石です。私もあの二人の描く未来に興味があります、今はそれもひとつの楽しみとなっています。…まあ相手が不器用なリヴァイなので少々ジゼルも不憫だとは思いますけどね。」
「しかし、アシュリー博士が遺した愛娘がこうも美しいとはな。さぞアシュリー博士も娘が可愛かった事だろう。なのに何故、ジゼルを何年もの間地下室に幽閉しておったのか、…全く、酷な事をしよって……。エルヴィンよ、そなたはジゼルが閉じ込められていた理由を知らんのか?」
ヴェルディの疑問がぶつけられる。エルヴィンは前を見据えたまま眉一つ動かさず口を動かした。
「ええ、存じ上げませんね。」
「……うむ。だが、愛娘を幽閉するなど考え難いな。」
嘘を着くのになんの罪悪感もないエルヴィンは顎に手を当て純粋にジゼルを心配するヴェルディを一瞥した。
何故、ジゼルがアシュリー博士の手によって地下室に幽閉されたのか、アシュリー博士が何を思ってジゼルを閉じ込めたのか、その理由は言わずともジゼルが調査兵団に来た時、ピクシスから届いた報告書を読んで知っている。内容を読むにつれてなんて世間は狭いのだろう、と頭を抱えた。
運命とは、時に残酷に、時に複雑に絡み合う。
だが、これは死ぬまで墓場に持っていった方がいいだろう。そう判断しているエルヴィンに迷い等無かった。