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so ist es immer【Levi dream】

第4章 intertwined feelings


「そろそろ我慢の限界らしい。」

「え?……我慢?えっと、誰が?」

「俺がお前に、だ。」

乱暴にジゼルの頭を撫でる。ジゼルは胸元を掴み、必死に状況を理解しようとしているようで。

それでも嫌じゃなかった。

リヴァイ兵士長の触れるだけのキスが生まれて初めてのキス。

だけどそのキスは全然嫌とか、不快感とかそういうのなくて。寧ろ、どこかとても安心した。黙って身を委ねてしまいそうに、なった。恥ずかしい。だけど、きっとこの気持ちに嘘はつけなくて。この気持ちにも大分と慣れてきた。だけどまだ認めるのには早い気がして。

「ふふ、でもあたしはリヴァイ兵士長の傍にいるととても安心します。」

「…お前は何を言ってる。俺はそんな立派な存在でもねえ、…ただ人は何かに酔いしれていないと腐っちまうんだろうな。」

「……?」

「この壁の中に英雄が居ると。そう信じ込まねえとやっていけねえんだろ。増してやこんな世界だ、こういった考えに至るのも無理はねえが。」

そう言ったリヴァイ兵士長はあたしから視線を逸らし遠くを眺めるかのように目を細める。その瞳は何も語ってはくれなかったが、あたしは小さく頬を緩ませた。

「だからこそ、英雄の重荷が少しでも軽くなるようにあたしは新型立体機動装置作成作業に取り組みます!」

呆気にとられたように目を見開くリヴァイは目の前で目を細めて笑うジゼルを見詰める。こんなにも前向きな人間が居るのか、と目の前にいる人間に目を凝らす。

穢れも知らないまるで真っ白な絵の具を塗りたくったような、白百合の花畑の中に一人佇んでいるような、そんな彼女。

綺麗事では決して生きてはいけない世界。

自らの手も汚したことのない清純な彼女の紡ぐ数々の言葉が俺の嫌いな綺麗事だとしても、何故かこいつの言う綺麗事なら妙に説得力があると思った。
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