so ist es immer【Levi dream】
第4章 intertwined feelings
だが今のガキの義父は駐屯兵団最高責任者、ピクシス。ましてや駐屯兵団兵団は貴族でもない、ただの兵団組織。ガキと結婚したからと言ってクロウドにはなんの利益もない。ガキの持つ資産はクロウドではなく兵団に流れるのだから。
寧ろ、利益よりも不利益の方が高い。だからこそこの縁談に意味がわからなかった。だが、上位貴族となると話は違うのか。
「何故このガキなんだ。理由を訊かせろ。」
「単純だ、……ジゼルになら私の息子、レヴィを任せられると思った。同時にクロウドを引き継ぎ背中に大量の重荷を抱える事になるレヴィをジゼルはきっと支えてくれるだろう。」
「随分と希望的観測じゃねえか、貴族の脳みそはどうなってやがる。矢張りクソでも詰まっているのか。」
「なにも私とて焦ってはおらん。ジゼル、レヴィとひとつ踊ってはくれないか?」
その時、リヴァイ兵士長の肩を抱く力が込められる。まるで行くな、とでも言うかのようなその仕草にジゼルは目を伏せた。リヴァイは苛立っているのかヴェルディさんを睨んだままピクリとも動かず、後から来たエルヴィン団長とハンジさんがあたし達の異常な空気を読み取り真剣な表情をした。
エルヴィン団長は瞬時にこの状況を理解したのか小さく息を吐き、ヴェルディさんに近づく。
「お初にお目にかかります、ヴェルディ・クロウド殿。調査兵団団長、エルヴィン・スミスです。何やら込み入った話をしているようですが、話の内容からするに私も無関係だとは思えません。是非、詳しくお話をお聞かせ願いたい。」
「おお、お主がエルヴィン・スミスか。うむ、よし、分かった。」
「ジゼル、ヴェルディさんのご子息と踊ってやりなさい。」
「……え?」
エルヴィンがヴェルディさんからあたしへと目を向ける。瞬きを繰り返したあたしにエルヴィンは小さく頷く。
「今日の主役は君だ。君が踊らないと他の貴族の方々も踊れないだろう。」
……そんなルールがあったのか、とジゼルは目を見開く。
「踊った事が、なくて……、」
顔を俯けさせたジゼルに自分は小さく舌打ちを落とす。エルヴィンのやつ、何を考えてやがる。とエルヴィンを睨めばエルヴィンは青い目を細める。何か考えがあるのか。