so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
その声に反射的に顔を上げたさっきまで泣いていた少女と聞き覚えのある声に眉を顰めたピクシス。まさか、と思うピクシスが美しい金色の瞳を揺らす少女の視線を追えば、そこには随分と予想外な人物達が並んでいた。どの顔も見覚えのあるピクシスは面白そうに黒髭をなぞる。
「なんだ、リヴァイ、何故お主がアシュリーの地下室に居る?」
「……それはこっちの台詞だ。爺さん」
端正に整った人類最強の睨みを浴びながらもピクシスはほっほっ、と愉快そうに笑った。真っ白で精神がおかしくなりそうなこの空間が気に食わないリヴァイは上官にも遠慮なしに容赦なく舌打ちをうち、その鋭い三白眼をピクシスに向ける。
「そんなに睨まんでも良いだろう?リヴァイ。…して何故調査兵団の精鋭部隊がこぞって此処に居る?エルヴィンの指示かのう?」
「……チッ」
ピクシスの言葉にリヴァイは舌打ちを零すだけ。仮にも上官に対してのこの態度に肝を冷やした部下達であったがリヴァイ・アッカーマン、基、人類最強の兵士はどの人間に対しても態度を変えずその感情を真っ直ぐぶつけるのだ。それが例え駐屯兵団、憲兵団、調査兵団の三兵団を束ねる総統にも。
だが、調査兵団精鋭部隊がビシッとまるで音でもなるんじゃないのかという程に敬礼し、口を大きく開けた。
「はっ!我々はエルヴィン団長の指示の元、ここに居ます!!立体機動装置を発明したとされるアシュリー博士の子供、ジゼルという人物を捜しに此処に居ます!!」
緊張しているのか日本語がよくわからない兵士を目にしたピクシスはジゼルという言葉に一瞬だけ反応する。だがリヴァイはその一瞬を消して逃さなかった。
「おい、爺さん。ジゼルというガキに見覚えがあるな?」
「はて?なんの事かのう?」
小柄のくせに圧倒的な威圧感。ピクシスは恍ける振りをしてその小さな黒目を大きく左右に揺らす。そのわざとらしい仕草にリヴァイのこめかみに青筋が浮かんだ。どうやら彼は自分が他人の手のひらで転がされているという屈辱が嫌いらしい。その証拠に眉根には深い皺が寄り、拳を振るえさせている。
「クソジジイ。さっさと吐きやがれ。生きているのか死んでいるのかすらも分からねえクソガキの為に俺の部下が動かされてる」
「エルヴィンの命令なら仕方があるまい」
「削ぐ」
「……ほう?」
そう言ってレアメタルに手を伸ばしたリヴァイ。