so ist es immer【Levi dream】
第4章 intertwined feelings
「はは、貴族がこぞってジゼルを取り合う光景が安易に想像つくよ。」
「そ、そんな事は…!貴族の女性はとても美しいと昔父から聞かされてきました。あたしなんてきっとその方々達に比べれば足元にも及びません。それよりもとても緊張してます…。」
「いや、ジゼルはとても美しい。だからこそ我々もしっかり仕事を果たさないとピクシス司令に叱られそうだ。」
はは、と穏やかな表情のエルヴィンを視界の端に捉えたリヴァイはハンジの顔から足を退かしソファーに座る。果たしてエルヴィンのこんな顔を見るのはいつぶりだろうか、と宙を眺めるリヴァイ。非情だの冷酷だの罵倒されているエルヴィンだがジゼルが来てからエルヴィンやリヴァイを始め調査兵団が明るくなったような気がした。
「ふふ、ピクシスさんはとても優しい人ですから。今日ピクシスさんは?」
「ああ、その事なんだがピクシス司令が王政に呼ばれたらしくてね。急遽参加できなくなった。」
「そうですか……。」
がくり、と肩を落とすジゼル。まあこの反応も仕方が無いだろう。ピクシスはジゼルにとって父親同然。そしてピクシスにとってジゼルは娘同然なのだから。
「ピクシス司令も残念がっていたよ。ジゼルのドレス姿を見たかったと。また機会があればそのドレス姿をピクシス司令に見せてあげなさい。とても喜ばれるだろう。」
「ふふ、はい。」
こくり、とエルヴィンの言葉に頷いたジゼルは嬉しそうに髪飾りに触れる。またピクシスさんに見てもらえる、あたしの事を気にかけてくれるピクシスさんにはとても感謝している。だからこそ今調査兵団に来てとても楽しいよと伝えて、このドレス姿を見せたい。
「よし、ではそろそろ出向くとしよう。モブリット、馬車の手配を頼む。リヴァイはジゼルの護衛役とエスコート役を頼むよ。」
「あ?聞いてねえ。」
「お前が適役だろう?」
「………どうやらそうらしいな、いいだろう。了解だ。」
エルヴィンの冷静な眼差しに頷いたリヴァイは先程のエルヴィンとの会話を思い出していた。何かあれば一番に対応できるのはリヴァイだろう、この前のように相手が力でジゼルを襲うというのならこちらも一番頼りになる兵士で出迎えるだけ。
人類最強と謳われているリヴァイをジゼルの近くに置いておけば迂闊には近づけないだろう、貴族の男達も、謎の男達も。