so ist es immer【Levi dream】
第4章 intertwined feelings
シュッ、というアンカーが飛び出す音を鼓膜に入れたジゼルは月光に照らされたリヴァイを見詰めていた。胸の前で手を握るジゼルからは期待と不安。交互に交差する感情がリヴァイに向けられていた。
「……う、そ……っ。」
次の瞬間ジゼルは目を疑った。大きな目をゆっくりと瞬きさせる、それは目の前に広がっている映像を見逃さない様に。軽々としなやかに飛び回るリヴァイは眉一つ動かさず木から木へと移動していた。無駄のないその動作はジゼルの心を圧倒させジゼルはパァッと笑顔になる。
リヴァイの立体機動装置の扱い方はもはや圧巻、天才としか言い様がなかった。あのエルヴィンでさえも頭が上がらないリヴァイの実力を初めて目にしたジゼルは叫んでしまいそうになる口元を押えリヴァイを見詰めた。
「おいガキ。」
「は、はい!」
「…悪くない。」
「ほ、褒めてくれてます?」
「あ?褒めてるだろうが。」
太い枝に着地したリヴァイは窓際でしゃがみこんでいるジゼルを見下ろす、頬を紅潮させているジゼルの金色の目はとても輝いていて。リヴァイは息を飲んだ。ーー糞、調子が狂う。
「リヴァイ兵士長!」
「なんだ。」
「リヴァイ兵士長のその顔が見たかったんです!頑張って良かった…、ありがとうございます。」
「…っ、ああ。」
ジゼルの花咲くような笑顔はリヴァイに向けられていて。前にハンジがジゼルの笑顔は天使の様だと興奮していたがあながち間違ってはいない。この笑顔がリヴァイだけに向けられているという現実も悪くはない。
月光だけが二人を見下ろす中、ジゼルは目を細めて新型立体機動装置を見詰めはしゃいでいた。リヴァイは僅かに自分の口角があがるのが分かった。
新型立体機動装置にも慣れてきた頃、リヴァイはジゼルの目の前に着地する。旧型よりも明らかに軽い新型はとても扱いやすく、これなら兵士の死亡率も格段と下がるだろう、と思ったリヴァイは改めて新型立体機動装置を見詰めた。
目の前で嬉しそうに笑ってる金色の少女が造ったものだなんて微塵も思わない。だが実質そんな新型立体機動装置はジゼルの手によって造られたのも事実。