so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
その記憶の中には父との何が隠されているのかと思うと聞けずにはいられなかった。何よりも今この状況に追い付けない。誰も入ることの許されないような異様な空気を放つこの空間に今人が居ることだけで自分の心臓が大きな期待を背負った高鳴りを鳴らす。
「ピクシス……さん、今地上はどうなって、此処は……」
「……」
「……お父さん、は何処に?」
「…………すまなかった」
突然、腰を深く折り曲げ頭を下げたピクシスに私の心臓が違う意味で嫌な音を鳴らす。血液がまるで逆流していくようなそんな気持ちの悪い錯覚に吐き気を覚え手を口に当てる。
「……お主がアシュリーの手によって此処に幽閉されてから随分と時が経ったみたいでのう。」
「……」
「地上は荒らされて、巨人の活動はより活発化した。ウォール・マリアの壁は突破されて1万人の命が一瞬でなくなったよ。お主の父親もその中のひとりじゃ」
「…」
「今お主が居るのはウォール・マリアのシガンシナ区、アシュリーが所持していた地下室じゃ」
「……地下室」
「すまなかった。ウォール・マリアが突破された時儂が本当なら真っ先にお主のところに行かなくてはならんかったのに。……部下達が食材を持って来てくれたのには気づいておったんだろう?」
「……ピクシスさんの、部下…」
「…………そうだな、お主の中ではまだ時間は止まっておる。仕方の無い事じゃ。いくらでも儂を責めるがよい」
「そんな事、しません」
力無く頭を項垂れるピクシスに私は首を横に小さく振る。聞かされたのはどれも現実味のないものばかり。だけどピクシスの言葉と表情を見る限り、あたしの故郷は巨人の手により破壊され父は死んだ。なのに、まだ状況が読み込めていないあたしは、何よりも、此処から出れるのかもしれないという小さな希望が胸に渦巻いていた。
「儂はここ数年で駐屯兵団司令官となった。今は領土南部最高責任者としてこの辺りの領土を任されておる」
「……そう、なんですか。時代はあたしを置いて良くも悪くも過ぎ去っていったのですね…?」
「ああそうだ。だが、お主が儂を殺したいというのなら殺してくれても構わない。お主を真っ先に迎えにこず今まで後回しにしていたのも紛れもない事実だからのう。この老耄の命で満足するというのなら、」
「っ、やめてください!あたしはそんな事を望んではいません」