so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
リヴァイはピクリとも動かないジゼルを抱き抱え床に膝を着くと乱暴に扱われたのかボサボサの金髪を指で解く。本来の艶やかな金髪に戻ってきたのを確認したリヴァイは次にジゼルの頬に手を置いた。固く閉ざされた瞳と涙の跡が残る痛々しい頬に歯を噛み締めた。ジゼルに触れるその手は少し震えていて、だけどジゼルに触れる骨張った指はジゼルを壊さないように、と繊細にジゼルの頬を何度も撫でリヴァイは目を伏せる。
ミカサはリヴァイのその行動とリヴァイの表情を見て息を止める。今の今までリヴァイのこんな表情を見た事がないミカサは何が起こっているのかわからなくて口を固く閉ざしリヴァイの行動を見守った。
リヴァイは苦しそうに顔を歪めピクリとも動かないジゼルを抱き締める。強く、強くジゼルを抱き締めたリヴァイの表情に誰も口を開くことは出来なかった。柔らかく小さな体に抱きつくその姿はまるでリヴァイ自身が泣き叫んでいるようにも見えた。
「…………ジゼル。」
低い声が静かな部屋に響き渡る。リヴァイの声は少しだけ震えていて。カッと目を見開いたリヴァイは躊躇いなくジゼルの胸元に耳を近づけさせた。ドク、ドク、と小さくて弱いが確実に鼓膜に入ってきたその鼓動音にリヴァイは肩の力を抜きさらにジゼルを抱き締めると小さく息を吐いた。
「……リヴァイ、ジゼルは生きてるよ。大丈夫。」
「……」
ハンジが小さく笑いながらリヴァイに近付き床に膝を着く。
「君が助けたんだ。君がジゼルを助けた。」
「……」
「早く医務室に連れてってあげよう?」
「…ああ。」
リヴァイはジゼルを抱き抱えたまま小さく返事をし、頷いた。その表情は安堵で溢れていた。綺麗好きなリヴァイは蒸発して次第に消えていく巨人の血ですらも気に食わず壁外ではいつもハンカチを常備している。だが今のリヴァイは蒸発して消えない人間の血が自分の頬に飛び散って固まっていても気にもせず気を失っているジゼルの顔を見詰めるだけ。今までのリヴァイでは考えられなかった行動にその場にいた者は息を飲む。元々真っ白な彼女の顔はさらに白くて。エルヴィンとハンジはリヴァイが抱き抱えるジゼルの顔を覗き込みふう、と安堵の息を吐き出した。