so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
確かにおばちゃんのもつ夕食の中には多くも小さくもない焼き魚がある、それも一匹丸ごとの。ハンジとエルヴィンは反射的に顔を上げ、大きく目を見開いて焼き魚を食い入るように見詰めた。途端、ハンジの顔が大きく歪む。そしてはは、と空笑いを零し髪の毛をぎゅっと掴んだ。エルヴィンは目を見開けたまま硬直し、この状況に頭が追いつかないのか集点の収まらない瞳で焼き魚を見下ろした。リヴァイは小さく息を吐き出すと瞼を固く閉ざし、顔を俯ける。予想外の状況に頭が着いていかず兵士達は唖然と豪華な夕食を見下ろし、固まっていた。
だがある者はもう我慢できないというかのように食べ、それを合図にほかの兵士たちも次々と焼き魚を口に放り込んだ。食糧難は避けられず、訓練の森の奥深くに魚がいたのを知っていたが誰も行こうとは思わなかった。それは。その理由は。
「……ねえ、兵士130人分だよ?普通捕りにいこうって思える…?」
「少なくとも今までいなかったのは事実だ。」
ハンジの乾いたその声にエルヴィンは小さく息を吐き出し焼き魚を解した。一口、口に運べば体は満足そうにして焼き魚を受け入れる。塩分が体に染み渡り、体が嬉しそうに喜ぶ。彼の心の中も後悔という言葉で埋め尽くされていた。リヴァイは食事に手をつけようとはせず遠い一点を見詰めたまま微動だにしない。
「あの、エルヴィン団長。」
そんな中、食事に手をつけていないエレン達がエルヴィンの前に出る。エルヴィンはこれからエレンたちが何を言うかがわかっているかのように食事している動作を止めた。
「俺達をジゼルのところへ行かせてください!なんか、このままだと…、魚も味わえないというか、後味悪いんで…。」
エレンの言葉にエルヴィンは目を伏せた。ハンジは小さく微笑みながらもその言葉を受け入れる、がその表情は後悔で染まっていた。
「ジゼルは私達のために必死に働いてくれた。何も知らなかったとはいえあんな酷い仕打ちを受ける事は無いはず。」
ミカサが壁に背を預けているリヴァイを睨む。リヴァイは気づいているのか気づいていないのか宙を眺めたまま、ミカサの視線を無視した。エルヴィンはフォークを置き、こくり、と小さく頷く。
「行ってやってくれ。頼んだよ。」
「はい!」
その言葉を背中に受け、エレン達は食堂から踵を返していった。