so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
リヴァイは鬱陶しげに舌打ちを落とし壁に背中を預ける。しばらく時間が経っても泣き止む気配のないジゼルの金髪が床に落ちる。いつもこの時間帯は騒がしい食堂が誰もいないかのように静まり返っていて。ジゼルは啜り泣くその声が鼓膜を刺激する度にリヴァイの胸がちくり、と痛んだ。ハンジは伏し目がちにジゼルの背中を撫でるがジゼルの涙は頬を伝って床に辿り着くだけ。
そして暫くしてからジゼルは前触れなく立ち上がるとハンジの手を振り払い俯き、腕で目を隠しながら震える唇を動かした。
「…へ、やに…戻り、ます…。」
その弱々しい、今にも消えてしまいそうなジゼルの声に返事するものは誰も居なかった。ジゼルは一度も顔をあげず逃げるかのように食堂を後にした。小さな背中がさらに小さく見えて取り残された兵士達はざわり、と一瞬だけザワつく。それはリヴァイに対する批難かはたまたジゼルに向けての愚かさか。
「…ジゼルの様子を見に行ってくるよ。」
リヴァイが宙を睨み腕を組む。そんな中、ハンジが席を立ちエルヴィンに向けて言葉を落とすがエルヴィンは首を小さく横に振ってハンジの行動を止めた。
「今はひとりにさせてあげよう、きっと彼女も色々と思うことがあるはずだ。」
エルヴィンの声は食堂に響き渡り、ハンジは眉を八の字にさせ席に座り直す。リヴァイは何を考えているのか、その表情が後悔で滲むことはなく、ただただ宙を睨んでいた。
「なんだい、この雰囲気は。腹が減ったのかい?ほら、今日の夕食は豪華だよ。」
その刹那この空気には不似合いな声にエルヴィンとハンジは顔を上げる、食堂のおばちゃんが満面の笑みで調理室の扉を開けた、と同時にふわりと食堂を包み込む香ばしい匂いに104期兵士、サシャ・ブラウスは涎を垂らし目を輝かせた。
「……おばちゃんっ、今日のご飯はまさか、さか、さか、魚ですかっ?」
「おや、サシャちゃんは流石だねぇ〜。そうだよ、ジゼルちゃんが大量に魚を捕ってきてくれたんだ、皆の為に調理してくださいって言いに来るもんだからおばちゃん頑張っちゃったよ。」
誰もが予想していなかったその展開にみんながみんな息をするのを忘れ、おばちゃんを見詰めた。