so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
おばちゃんは少し考えるようにして腕を組む、がそれはほんの一瞬で。顔を上げたおばちゃんは棚をあけゴソゴソと物を探る。そして何かを手にしジゼルの前に笑顔で立つとジゼルにそれを差し出す。
「昔ここで働いていた人が大の釣り好きでねえ。保管しておいてよかったよ、これ使いな。」
それは沢山の釣り道具で。ジゼルは目を輝かせながらそれを受けとり、頭を深く下げた。
「ありがとうございます!夕食までには戻ります!おばちゃん、魚釣れたら調理して皆さんに配ってあげてください!!」
「それはお安い御用さ。だけど、兵士130人分の魚を釣るってのかい?」
「はい!頑張って釣ってきます!」
驚いたようにしてジゼルを見るおばちゃんだがジゼルはやる気満々で大きく頷くと嵐のように走り去ってしまった。
130人分は無理かもしれないけど魚を半分に切れば兵士全員に魚が行き届くだろう、だから計算すれば65匹釣ればいい。65匹も中々の数だがジゼルはやる気満々でもう慣れた訓練の森を駆け抜けた。ジゼルが走る度、金髪が揺れまるでそこには妖精がいる錯覚に陥る。走って15分位のところで川が見えてきてジゼルは小さな岩に腰掛ける。ここなら、魚達にも見つからず釣りができるだろうと思ったジゼルは初めてとは思えないほど手慣れた手つきで仕掛けや罠を作っていった。
ちゃぽん、と言う音と共に釣糸を川の中に投げたジゼルは鼻歌を歌いながら引きを待つ。がその必要も無いくらいに魚達は餌に食いついていく。釣り人を知らず正直に真正面から餌に食らいつく魚達はすぐ様ジゼルに引き上げられバケツの中にはもう既に大量の魚が飛び跳ねていた。
「ふふ、楽しい!」
金色を輝かせたジゼルは時間を無視して無我夢中で魚を釣っていた。次々と釣れる魚にジゼルは緩む頬を抑えきれず体を揺らす。これなら130匹もいけるんじゃないのか、とちらりとバケツの中を覗いたジゼルはよし、とちいさく気合いを入れ直し小岩に腰掛け小さな手で釣竿をぎゅっと握り締めた。