so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
「…お、重たい。けど頑張る!」
バケツに水を入れたジゼルは全身の力をバケツに費やするようにしてバケツを持上げる。うぬぬ、と歯を食いしばるジゼルは一歩一歩、慎重に歩き馬小屋の中へと足を踏み入れる。そんなジゼルの侵入を馬達は快く許してくれジゼルに身を任せるようにしてジゼルの行動を見守っていた。顔に泥がついても気にしないジゼルは不慣れだが馬小屋を綺麗に掃除していく。段々と綺麗になっていく馬小屋に馬達は嬉しそうに前足を蹴っていた。
そしてウィンドウ、トイ、ファルの順番に毛並みを解いてあげると艶やかな毛並みがさらに艶やかになり、ジゼルはパァっと笑顔になる。リヴァイが神経質だと言ったファルも満足したようにしてジゼルの頬に顔を寄せていた。ヒヒン、と短く鳴いた馬がジゼルにお礼を言っているようでジゼルは満足したようにして笑いウィンドウ、トイ、ファルの頬に自分の顔を近づけ軽い口付けを落とした。
そして暫く戯れているとジゼルの頭にふと随分と前にした会話が呼び覚ます。調査兵団の食事は今ではジゼルの資産があるからこそ少しは魚や肉といったものが出てくるようになったがそれでも壁の外で戦う兵士達のお腹には足りていない事がわかる。そういえば調査兵団に居る兵士はみんな平均より細い気がする、平均が分からないけど屈強な兵士の割に細い体を思い出してジゼルは足元に落ちていたバケツを見詰めた。
確か訓練の森の奥底には川があり、そこの川には魚達がうようよ居るはず、それを釣って食堂のおばちゃんに渡せば少しは兵士達にも栄養が行くかもしれない。そうと考えたら行動は早かった。ジゼルは駆け足で馬小屋を出ると食堂に向かう。
「おばちゃん!」
「ん?…ジゼルちゃんじゃないか。そんなに慌てて、何かあったのかい?」
目を見開いたおばちゃんがジゼルを見る。昼食の用意をしていたのか腕には抱えきれないほどの野菜があって。ジゼルは手伝うように半分おばちゃんから野菜を受け取りおばちゃんが指定したところに野菜を置いた。
「おばちゃん、釣り道具ってありますか?魚を釣りに行きたくて。」
ジゼルは地下室に居た頃、釣りの心得という本を読んだことを思い出しながらおばちゃんに問う。釣りの仕方も全て頭の中に入っているジゼルは笑顔でおばちゃんの顔を覗き込んだ。