第6章 那田蜘蛛山にて
「それは可哀想に……でも、鬼は鬼です。優しい毒で殺して差し上げましょう」
しのぶの言葉に、淳一は鳥肌が立つ。
「その子を抱えて逃げろ」
義勇の言葉に、淳一は走り出した。
鬼でも、普通に生きることは許されないのか。
すると、目の前には女の子の隊士――栗花落カナヲが居た。
カナヲは淳一に切り掛かってくる。
「止めてくれ!俺は決して人間に害を与える気は無いんだ!」
彼がそう叫んでも、カナヲの動きは止まらない。
「何で、若い女の子もこんな機嫌なところで働かなきゃいけないんだ?俺の世界では、学校に通ってるのが当たり前なのに!」
明らかに、心の声が漏れだしている。
「俺は!こんな世界を変えたいんだよ!」
厨二病みたいな言葉だけど、俺はこんな残酷な世界を変えたい。だから、俺は鬼舞辻無惨を倒したい。
カナヲは動きを止め、金貨を出して、上に飛ばせた。それを捕らえると、裏が表示されていた。
「……俺の世界とは何?」
カナヲの綺麗な声に、淳一は驚かされた。しかし、すぐに切り替えて話をする。
「ここで言うと、未来の世界だな。令和時代なんて聞いたこともねぇだろ?俺は先生で、彼女は俺の生徒だった。普通に過ごしていたはずなのに、無残に襲われて、この世界に来た。しかも、俺だけ鬼だった」
俺はこれでも普通に教師をやっていたんだ。