第3章 激闘の初任務
うどん屋の屋台付近に戻ると、淳一と禰豆子が手を繋いで待っていた。
「先生……なんか、尊いですねぇ」
「むっ?」
「何ともないです、すみません……いたっ!」
花怜は淳一に頭に軽い手刀を入れられ、痛みで頭を押さえた。
「仲良いですね」
「いやぁ……」
炭治郎に褒められてしまったが、実際に仲が良いのかよく分からない。だって、先生と生徒の関係だから。
「行きましょうか、炭治郎」
「うん。でも、どこに居るのかなぁ……」
炭治郎は珠世達の居場所に頭を悩ませている。しかし、本当はそんな必要はないのだ。なぜなら、愈史郎の血鬼術で姿を隠しているからだ。
炭治郎がキョロキョロと辺りを見渡していると、愈史郎を発見した。
「愈史郎さん、待っててくれたんですね」
花怜がそう言うと、愈史郎は眉間にシワを寄せた。
「俺はお前に名前を教えた覚えが無いが?」
「いやぁ……未来から来た者で、ある程度の知識はあるんです」
「はぁ?」
愈史郎が如何にも理解不能という顔をしている。
「珠世さんが居る時に話した方がよろしいでしょう」
「ああ……そうか。その二人は鬼じゃないか?」
愈史郎の言葉に、花怜達は目を伏せた。
「……全て無残の仕業です。私達はこの世界を見ているだけで良かったのに、先生も鬼になっちゃって……」
辛そうに話す花怜の頭を労るように淳一は頭を撫でた。その表情はとても悲しそうだった。
「……悪かったな。行くぞ」
愈史郎がそう言った。花怜達は愈史郎に付いて行った。