第1章 鬼に成りし者と
「先生!」
花怜は、廊下を歩いている淳一に話しかけた。
「あの、相談が……」
「良いよ、聞くよ。それにしても眠いなぁ」
淳一はそう言って、花怜の肩を優しく叩いた。
二人は教室に行こうと振り返ると、そこには、黒い服を着た男が立っていた。
「あの……侵入者は通報しますよ?」
淳一は恐る恐る言うと、目の前の男が偉そうな高笑いをした。
「さすが、未来の世界。すごい見物だ。では、死んでもらおうか」
男はそう言って、淳一を尖った爪で刺した。
まさか、本当に……あの人なのか……?
「君もだ」
男はニヤリと笑い、花怜の首に手刀を入れた。
倒れた二人を見て、男はさらに大笑いした。
「私の恐ろしい世界へ、行ってらっしゃい」