第3章 Sakurai.
学校へは行ってない
行く余裕すら、私にはなかった。
ピンポーン。
珍しく客人だ。
いつもは居留守を使うところだが、
私は小さく扉を開いた。
「愛里ちゃん。おはよう!」
彼はそう明るく言って、
小さく開けていた扉を無理やり開いて
中へと入って来た。
なんなんだ、彼は。
「....あ、の...」
戸惑う私に彼は笑顔で、
「今日から住み込みで働く櫻井です」
と名乗った。
住み込みで働く?
お母さん、そんな人いつ雇ったのだろう。
というか給料なんて払えるのか?
「....ほ、んとうに?」
「奥さんに確認取ります?」
携帯電話を差し出す彼。
どうやら話は本当らしい....
ぐちゃぐちゃの部屋を見渡して、
俄然やる気を出した彼は、
「片付けますか」
と腕まくり。
なんだか厄介で面倒な人が来たもんだ。