第3章 Sakurai.
暗い帰り道、
照らすのは街灯だけ。
横には櫻井くんがぴったり並んで歩いてる
「櫻井くん、って優しいね」
「え?俺?」
「だって、私みたいなのと帰ろうなんて」
最も可愛い子ならば、
あわよくば...なんて考えで帰るかもしれない
(そんなんじゃなくても帰るだろうけど)
だけど私なんて、
可愛いも綺麗も何も当てはまらない分類
優しさからしか思い当たらない。
「...んー....
そんなことないよ」
櫻井くんはさっきまでの明るいトーンとは
違ってどこか真面目。
「俺、誰にでも優しいわけじゃないよ?
可愛い子だろうとその気がなきゃ帰らないよ」
「へ、え。」
これはどう受け止めていいのかな。
やっぱり私は、照れ隠しに
優しさとしか受け取りきれない。
ダメ、彼はそんな都合のいい方になんか
展開はいかないんだから!