第6章 Ohno.
いつしか嬉しいと感じてた。
「やーっと終わったねぇ~」
「相葉さんが噛まなきゃすぐ終わりましたよ」
いつしか君は居なくなってしまうかもと、
あの日あの時、泣いた君を
「早く楽屋に戻って飯食おうぜーい!」
「俺、髪のセット直したい」
そっと抱きしめた温もりを、
忘れられずにいた。
ドアを開けば、
「…あ、れ」
"昨日"と変わらぬ楽屋の風景が
そこにあったというのに。
俺は違和感すらも感じるほど、
この状況はヤバイんだと、感じた。
「ん?リーダーどおしたの?」
「愛里ちゃんが居ないね…」
君がくれたブレスレットが、
散らかった俺の荷物の横に置かれていて、
『さようなら、ありがとう大野さん』
そう一言書き添えたメモ紙だけが
残され、愛里は消えた。
「……っ、」
居なくなっても大丈夫なように…。
お父さんが私が居なくなっても
寂しくないように。
これはお守りなの。
私が居なくなっても、
寂しくなんかないんだよ?
これはお父さんと私を繋ぐブレスレットなの
お父さんなんかじゃねえ。
パパでもなんでもない
なあ。
どこいるの?
何してるの?
何を思ってるの?
「いねえっ!!!」
「ちょ、リーダー!
どこ行くの!?」
泣かないと誓ったのに。
俺はもう泣いていた。