第6章 Ohno.
ルンルンで、車の中で
足をパタパタ揺らしながら座っていると
助手席に座ってるお父さんが
「楽屋で大人しくしてろよ
局内彷徨いたら置いていくからな」
「分かってるよー」
嵐のメンバーとは初対面だけど、
きっと良い人だよね。
お父さんが良い人だもん!
流れる景色の中、外をジッと見つめる。
「…なら良いけど。」
ぼそっと聞こえたその一言に、
前をチラリと見てみると
ニコッ、と引き上がる口角に
笑ってくれているのが分かった。
小さい小さい喜びに
浸っているのは私だけではないようだ。
『愛里ちゃん、でしたっけ?
可愛いですよね。彼氏いるんですかー?』
マネージャーさんが運転しながら
そんなことを聞く。
可愛いなんて言われたのは初めてだ。
「い、いえ…かれ「手出すなよ、俺の娘だから」
お父さんが遮るとマネージャーさんは
クスクス笑いながら
『大野さんも素直じゃないですねー
娘だなんて、思ってな「だーまーれー。」
真っ赤っかの頬を見つめ、
なんだか複雑な気持ちになった。
もうすぐテレビ局に着くというのに、
再び寂しい気持ちが浮かんできた。
私はお父さんが大嫌い
居て欲しいときに居てくれない。
大嫌いなお父さん