第5章 Aiba.
夕方。
幼稚園へ叶汰を迎えに行くと、
なんだか騒がしい。
なんだろうと覗いてみると
『おとーしゃんっ!!』
「よう、叶汰ぁ!」
雅紀の姿があった。
でも今日は遅くなるって…、
番組の撮影を続けて2本撮るって…。
『ママっ!!』
雅紀とじゃれてた叶汰が
こちらへ駆け寄って来た。
必死に雅紀が来てくれた嬉しさを
私に伝えようとする叶汰。
『あのね、おとーしゃんがねっ
迎えにねっ、来てくれたのっ!』
「ちょっと時間が空いたからね
叶汰と愛里を連れてこうかなぁってね」
「ええっ、いいの?」
あくまで私は一般人だし…、
しかもアイドルの楽屋とか行くの?
「当たり前のこと、してやれないから
皆が出来ない事をしてやろうと思ったんだけど」
「…雅紀って、唐突だよね。いつも…」
当たり前じゃない当たり前。