第4章 Matsumoto.
「お釣りは、要らないです」
別にカッコつけたわけじゃないが
今は釣りどうこう言ってる暇はない。
俺の頭の中ではプロポーズでいっぱいなのだ
記者対策(記者だけじゃないが)
ばっちりでマンションへ向かう。
「潤ちゃんっ!!」
中へ入り、エレベーターへ向かう途中
抱きついて来たのは彼女の愛里
「部屋で待ってなきゃ、バレるだろ?」
「まあまあ、早く行こうよ!」
俺が早く会いたいって思ってたのが
愛里にバレたのか?
エレベーターの中へ引っ張られながら、
思わずふふっと笑ってしまった。
「なぁに?」
「可愛いなーって」
いつもは言わない『褒め言葉』
自分でも吃驚したぐらい、
無意識に言葉がポロッと出ていた。
「じゅ、潤ちゃん変だよ~」
照れながらそう言い返す愛里
プロポーズ効果なのだろうか。
「話したい事が、ある」
「...、うん。」
エレベーターが上へあがるなかで、
バクバクと心臓が脈を打つ。
変に顔が熱くなってそうで、
なんだか変な気分だ。