第4章 Matsumoto.
部屋に入り、上着も脱ぎ
荷物と上着をまとめ。
正座して座る。
すると愛里も笑いながらも、
少し不安そうな顔で正座する
「真面目に、聞いて欲しい。」
「…うん」
「一度しか、言わないから。」
「……うん」
大きく息を吸って、吐いて。
きっと大丈夫と自分に言い聞かせて。
バクバク鳴る心臓を、
まるで宥めるように手を当てる。
大丈夫、
だって俺、何度もドラマとかで
好きとか愛してるとか結婚しようとか
言ってきたんだ。
....でも今日の『結婚しよう』は
あまりにも気持ちが入ってて
ドラマの台詞での言い慣れは
まったく通用しないんだ
「結婚しよう。」
大丈夫、大丈夫。
沈黙が流れる部屋の中、
心でそう呟く。
過るのはごめんの一言だけなんて、
俺、やっぱ言い慣れてねぇわ。
ドラマなんて「いいよ」しか
聞けないのに。
君からの返事は、
ごめん、しか想像できない。
「...じゅっ....ちゃんっ...」
でも君は嬉しそうに、泣きながら、
必死に俺の名前を呼んだんだ。