第4章 Matsumoto.
イヤだ。
全て思い出してしまった。
鉄の棒が落ちてくる瞬間も、
君が傷つき倒れた瞬間も、
血が、ドロドロと流れる瞬間も。
悪夢だった。
『松本さんっ!?』
『どうされました?』
俺は走った。
きっとどこかの病室に居るはずなんだ。
個室で、酸素マスクやらなんやらを付けられて
寝ているだけなんだ。
ただ、生死の境をさまよってるだけ
それだけに違いないんだよ。
「松潤、落ち着けよ!!!」
翔さんの声に我を取り戻す。
頬には涙が伝ってた
視界が涙で滲んでいて、
俺は俯いた。
「....居ないんだっ...て....どこ...にもっ....!」
居ない。居ない。
どこにも、君は、居ない。