第4章 Matsumoto.
「俺、ちょっと外歩いてくる」
「ちょっ、松潤!!!」
冷静で居られないのは、
それだけ大切な人が亡くなったんだ。
なのに俺は覚えていない
苦しくなる心が締め付ける。
『潤っ!!危ない!!!』
「えっ?」
振り向くと、誰も、いない。
突然聞こえた声に俺は疑問に思った
なんだか聞いたことのある声だ
それに、落ち着くような...。
『聞いた?松本さん、記憶喪失なんですって』
『えぇっ、そうなの?』
『しかも彼女さんとの記憶だけ!
可哀想に、亡くなったことも知らないのよ...』
『お気の毒に...。
松本さんを助けるために彼女さんは
自分が犠牲になったって話よ、優しいわ』
『本当に....』
看護師さんの会話に、固まった。
まるで足に鉛でも縛り付けられたような感覚
彼女....恋人...?
愛里....?!
「...っ....」
物足りない。
物足りないんだ
そう、愛里がどこにも居ないから。
「うわぁぁあああっ....」
思い出してしまった、
それと同時に泣き崩れた。