第3章 Sakurai.
雨のせいで、
泣いてるのかも分かんなくて
気づいたら、
「愛里、帰るよ?」
翔くんが居た。
そうしてやっと、
私は泣いてると気づけた。
「...帰っても意味ないし....」
へらっ、と笑い
平気だよと見せつける。
帰ったら元彼との思い出が溢れてて
もっと泣いてしまいそうだ
すると翔くんは、ギュッと抱きしめ
「帰ろう?」
「....っぅ...しょ、....くん...」
なんで?なんで、
翔くんはいつも居てくれるの?
笑って抱きしめてくれるの?
私ってば、甘えてばかりなのに....
「好きだからだよ、愛里のこと」
雨の音が一瞬、消えた気がした