第3章 部長との密会
(…あぁ…またミスしちゃった…)
今週仕事でミスをするのはこれで何度目だろう…
"あの社員旅行"からすでに1週間が経っていたが、今だ私は仕事に集中出来ずにいた。
部長の顔はまともに見られないし、橋本くんとも何となくギクシャクしている(おまけに橋本くんは思っている事が顔に出るタイプなので余計に気まずい)。
(…今日は残業決定かな)
自分のミスなのだから仕方ない。
明日は休みだし、今日のうちに挽回しておこう。
他の社員が帰り支度をする中…
私は眠気覚ましのお供にと、缶コーヒーを買いに自販機のある休憩室へと向かった。
(…あっ…、部長……)
そこにいたのは今あまり顔を会わせたくない人物…部長と、社内では"美魔女"と名高い主任の白鳥さんだった。
…何となく姿を隠す。
ここからでは何を話しているか分からないが、煙草を吹かしている部長に白鳥さんは何か書類のような物を見せていた。
(…なんかすごくお似合い……)
そう言えば以前、"2人は恋人同士"だという噂が流れていた事を思い出す。
部長も白鳥さんも互いに独身で美男美女。
飲み会の後、2人がホテル街へ消えていったなんて話も過去にはあった。
確かに並んでいる2人を見れば、そんな噂が立ってもおかしくはない。
(…やっぱり私なんか相手にされないよね)
この間部長が私を抱いてくれたのは、飽くまで私のコンプレックスを払拭させる為…私に勇気を持たせる為だ。
橋本くんは私の事を好きだと言ってくれたけど…彼らと関係を持ってしまった翌日、部長は私の体を心配するだけでそれ以外の事は何も口にしなかった。
そもそも私と部長は年齢だってかなり離れているし、彼が本気で私なんか相手にする訳ない…
そんな事解りきっていたはずなのに。
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