第1章 幼稚園

引っ込み思案で、なかなか友達とも馴染めなかった

いつも部屋の隅っこで、いつものおもちゃで遊んでいた

「あー、陣平くんまた解体しちゃったの？」
せっかくみんなで作っていたブロックで作ったお城
完成したと思ったら陣平くんが次々と解体していっている

先生の驚いた声が教室に響いた

「ちゃんと元に戻すってば！」

松田陣平くん、いつも先生を驚かせている男の子

「なんだよ！文句あるのか？」

松田くんを見ていたのが目が合ってバレてしまった

違う、違う
思いっきり首を横に振った

「陣平ちゃん、女の子には優しく、ね？」

萩原研二くんが、庇ってくれた

「怖かったよね、ああ見えて優しい所もあるからさ」

初めての会話はこんな感じだった

幼稚園の同じクラスで彼らと出会った


いつも1人でいる私に陣平くんが絡んできて、泣かされて、それを研二くんが慰めてくれて

いつの間にか3人一緒にいることが当たり前になって、笑顔が増えたと母が喜んでいた

「ほら、早くこいよ、おせぇぞ」
「待ってよー」
「早く！早く！」


活発な男の子2人と遊んでいると、自然と私もお転婆になる

引っ込み思案だった面影もなかった