第8章 完璧と言われた影に(カカシ視点)
「それに…意外なモノも、見れたんで…」
サクラが少し、柔らかく微笑んだ。
「…?」
ちゃんと笑えた彼女に 内心ホッとしながら、俺は首を傾げてサクラを見下ろした。
そのいたずらっぽく向けられる視線に、直ぐに身体が固まる事になるとは知らずに…
「いつも完璧なカカシ先生の、嫉妬するところ…ふふ」
「な…」
嫉妬?
────…俺が、嫉妬だって…?
ああ…なる程、そうか…───
(…嫉妬、
───してたのか…俺は…)
「やれやれ…
これはまた、新しい感情だな…」
誰かの為に激昂し、冷静な判断を失う。
(それも全て
奪われたくない、という…執着心ゆえ、か…)
嫉妬とは…難儀だな。
やっぱり君は、俺に人間らしさの何たるかを いつも教えてくれるんだな…花ちゃん…
「…?」
小さく呟いた言葉は、サクラには届かなかった様だ。
俺はもう一度、サクラの頭をグリグリと撫でてやる。
恋愛においては、昔からませていたこいつの方が余程大人…だな。
信用する…──花ちゃんと、サスケを…
何故ならば…俺が…2人を信用したいからに他ならない。
事態を把握して任務を必ず解決する…そう言った かつての…弟子を…
そしていつも周りを、俺を優しく気遣ってくれる──…心から愛する、自分の妻を…