第7章 絡み合う想い
『…って、何でいないの?
昨夜あれだけ約束したのに』
朝起きるとまた、
共に眠りに付いたはずのカカシさんがいなくなっていた。
昨夜帰ってすぐカカシさんには休んで貰い、私もやるべき家事を終わらせてから共に床に入った。
眠れない、とわがままを言うカカシさんからの色めき立った誘いも断り灯りを消したのだが…暗闇の中、またそういう空気に持っていかれてしまい…私は不覚にもそれに流されてしまった。
彼がちゃんと眠るのを確認したかったのに、お陰で先に意識を飛ばしてしまったのは、私の方で…
『う…か…らだ、痛い』
公園での会話では確かに、私から帰宅後の行為を仄かしはしたのだけど…
まさかあの状況で
流されてしまうなんて
『はぁ…』
つい大きな溜息が漏れてしまう。
情欲に負け優先順位も図れないなんて…
やはり自分は、火影様の妻としてはまだまだだな、と深く反省してしまう。
カカシさん…
今日は午前中お休みを取って綱手様の所に行ってくれるって約束、したのに
ガックリと、肩を落としてしまう
『あんな…記憶があやふやな状態で、仕事なんか、出来るわけ…』
独りごちながら、
胸の中はどんどん不安で満たされていく。
昨日は一体何時にアカデミーに戻ったんだろう?
そもそもあんな調子でちゃんとした睡眠も取れているのだろうか?
私はいつもの様に支度をして差し入れを片手に急いで家を出ると、昨日同様職場ではなく、アカデミーへと向かった。
いつになく心の中が、冷静な怒りで満ちて来る。
カカシさんが約束を破る事なんて、今までなかった、が…別にその事に、怒っている訳ではない。
火影の仕事は、他では変えの効かない責任ある立場
それが分かっている筈なのに、彼が自分の身体を蔑ろにしている…その事に、怒っているのだ。
だが同時にもしかしたら、とも思う。
(もし…約束"自体"を…忘れてしまっている、のだとしたら?)
昨日の様子では、その可能性も捨てきれない。
何れにせよ今日の私の1番の仕事は、病院に…ではなく、まずは火影室にあるようだ。