第6章 嫉妬R18
「あ〜あ…こんなに泣かせて…」
カカシさんのもう一方の腕が伸びて来て、サスケ君のものとは違う その馴染んだ感触がそっと私の目元に触れた。
私はハッとして、
自分の袖で慌てて涙を拭う
伺うような表情で見つめられると、
咄嗟に目を逸らしてしまった
「花ちゃん…?」
(もしかして
…今の…見られた、の…?)
ただ心臓だけが、早鐘のように鼓動を早めて行く。
サスケ君はカカシさんに掴まれた腕を振り払うと、先程まで見せていた表情を消す。そして、まるで何事も無かったかのように平然と…かつての恩師に向き合った。
「───悪かった…
こいつが泣いてる理由は、よく分からない…
…が、そうだな…俺が泣かせた」
「…それ以外ないでしょ」
カカシさんの指先が優しく私の頬の涙を拭い、まるで慰めるように そのまま頭をポンポンっと撫でられる
(…カカシさん…
誤解…して、ない?)
…が、何故かその手のひらから、
伝わってくる。
"大丈夫、君を信用しているよ "
ハッとしてカカシさんの顔を見上げると、彼はとてもホッとしたような…それでいて私を気遣うような 優しい瞳で、見つめていた。
止まらなかった私の涙が、その瞬間にピタリと止まる
「…」
が 視線がサスケ君に向けられる刹那、
それは微かな怒りを帯びたものに変わり すこしだけビクリと 身体を震わせてしまった。
───カカシさんが、こんな顔…
「俺のいない隙にこんな事するのは───今回限りにしろ、サスケ
…じゃないと流石の俺も、黙ってないよ」
彼の内に秘めたような怒りがひしひしと伝わってきて…それが自分への愛情故だと気付く。
だけど…
素直な気持ちを打ち明けてくれたサスケ君が悪いとは どうしても、思えなくて…
「その約束はできない」
(…っ…)
彼の台詞にまた鼓動が大きくなる
「…お前…っ、
何、言ってるの?」
カカシさんも、まさかの返答に目を丸くした
「その事は先に、謝っておく」
『…サ…スケ君』
「こいつが好きなんだ、
その事を隠すつもりはない」
こんな風に思われても
私には答える事なんて出来ないのに…
「……」
かつての子弟同士…無言で暫く視線を交わし合う。