第5章 サスケの想い
後輩達と過ごした時間は私に元気をくれた。
サスケ君は確かに分かりにくいけれどサクラちゃんを大切に想っているのは確かで…それが今の彼にとってどういう感情であれ、自分以外の誰かを大切に思う気持ちは、人と人を繋いでいくだろう。
特に今のサスケ君にとっては大切な感情だと思うから…きっとサクラちゃんの存在は大きい。
2人が歩み寄るのは時間の問題かもね
くすりと笑みが溢れてしまう
(…私 あの3人、大好きだなぁ…)
それぞれがどんな形であれ…幸せになって欲しい
そんな事を思いながら翌日のカカシさんへの差し入れの為、冷蔵庫の中身を整頓していく
一緒にいなくても、彼の事を考え彼の為に何かをできるということが純粋に嬉しい。
カカシさんの好みと栄養のバランスを考えながら、材料の下準備に取り掛かっていると…ふと昨夜のように玄関のチャイムが鳴って顔を上げた
『またこんな時間に?…一体誰だろ』
昨日は深夜とも取れる時間帯だったが、玄関を開けるとそこにはカカシさんがいて…
(あ、でもあれは夢で…実際は帰って来てないのか…う〜ん、やっぱりなんか変な気分…)
『絶対、夢じゃなかったのにな…』
昼間の堂々巡りの思考に舞い戻ってしまう
早朝の火影室でのやり取りを思い出すと、言いようのない不安を感じた
まだ11時前。奇跡的に帰ってこれたとしても日付を跨いでもいないこの時間での帰宅は、ちょっと考え難いか。
でもカカシさんだったら、嬉しい。
玄関の扉に手を掛けて、その不安な心を拭い去る様に…私は自らの頬をつねってみた
『痛…』
思わず力が入ってしまった
(はぁ…何やってるんだろ、私…)
とにかく、今の私は完全に起きている。
頬をさすりながら自分の行動の滑稽さに苦笑いをしてしまった
扉を開けると、そこにはカカシさん…ではなく、先程まで一緒にいたサスケ君が立っていた
私の顔を見ると、少し気まずそうに口を開く
「遅くに、悪い」
『サスケ君?何かあった?』
もしかして、サクラちゃんもいたりするのだろうか?
キョロキョロと玄関前を確認してみたが 他には誰もいない
「俺1人だ
サクラは…もう帰った
あんたと2人で話したくて来たんだ
……時間を、貰えるか?」