第22章 未来を見据えて(3人視点)
────…
「お前を煽ったのは、他でもないこの俺だ
あの夜、お前に嫉妬を剥き出しに
大人気なく敵対心を露わにした
────…お前はそれで、腹が立ったんだろう?」
────…
カカシが火影としての本分に冷静に向き合えずにいた、あの"幻影"での騒動の中
花とカカシとの情事の声を聞かされた、あの夜
────確かに俺は、言葉では言い表せない程に腹を立てていた。
"俺のものだ、手を出すな" それを表すように、カカシから全力で牽制され…
恥も、外聞すらも気にせずに──…元班員の俺に対して ああも大人気なく感情を露わにして…
まるでガキのようだ、そう思った。
…と同時に、俺が里に居なかった間に 容易く花を手に入れたあいつを、この時心底───妬ましく思ったんだ
────…
「冷静さを欠いて
火影としても、男としても
俺は お前の向けてくれている信頼に
──…傷を付けてしまったかも知れないな
その事は 本当にすまなかった」
お前のそんな姿を見る事になるとは思わなかった
(ああ、こいつは、変わったんだ)
───花を愛して
花が、コイツを変えた、そう確信していた。
「それだけあの子は俺にとって大事な存在なんだ。
ちょっかいを、出してくれるな」
何だ────その満たされた目は
お前は…俺と "同じ" だったのに
大事なものは皆殺されたと、暗い瞳で刹那的な日々を 送っていたはずのに
お前よりずっと前から────俺は花を、想っていたんだ。
そんな風に今満たされていたのは…
…もしかしたら…
俺だったかも、知れないのに
何故、俺は未だに────こんなにも空虚なんだ
────…
花が欲しい、どうしても、欲しい。
花を──…手に入れさえ…すれば
俺も きっと満たされる
花が──…きっと俺の闇も照らしてくれる
そうだ……きっとあの優しい、月灯りのように…