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第3章 独占欲と罠


*轟side



『私たち、いとこなんだよ』


「ね〜!」



ぴったりと頬をくっつけて俺を見上げる2人は、明らかに周りから浮いていて、道行く学生の注目を集めていた。

確かに、雰囲気や話し方がなんとなく似ているとは思っていたけれど。
いとこ同士と聞いてしっくりきた。



「...そうだったのか」


『ということで。私、ねじれちゃんの応援をしたいので、今年は出場見送らせてください....!実行委員さん、せっかく誘ってくれたのにごめんなさい!ねじれちゃん、本番見に行くから頑張ってね!』


「ありがとう〜!最後だもん、頑張るねっ!」



じゃあね、と無邪気に挨拶を交わす達をぼんやりと眺めていると、少し離れたところで男子生徒達がコソコソと写真を撮っているのを見つけた。

どうやら2人とも校内ではかなり知名度が高いらしく、気づかないうちにファンや野次馬達が集まっていたようだ。

しかし、当の本人は相変わらずの無防備さで、俺の隣でヘラヘラしている。



『焦凍、文化祭の準備戻ろっか。ねぇねぇ、芦戸ちゃんのおかげですごいダンスできるようになったんだよ〜!しかもね、女子の衣装がすごく可愛くて.....んっ!?』


の頭に手を回して、唇に軽くキスをした。

我ながら子供じみた真似だとは思う。
ただ、適当な奴にを盗撮されたのがどうにも頭にきて、気付いたら体が勝手に動いていた。



『なっ....!』


突然唇を奪われたは、耳まで真っ赤にして俺を見上げる。
いつも飄々としているこいつの慌てっぷりがあまりにも愛しくて、優しく頭を撫でながら、先程の盗撮野郎どもに一瞥をくれた。


その場にいた全員が口をあけて呆然としていた。
どうやら、無事にファンの男どもを蹴散らすことができたようだ。

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