第2章 いたずらっ子（微裏）

*轟side


それは、とある日のこと。

いつも通り実技演習の授業をしている最中に、突然あいつがぶっ倒れた。
近くで様子を見ていた爆豪曰く、個性の負荷に体が耐えきれず、容量オーバーしたらしい。

授業が終わってすぐに保健室に駆け込むと、ベッドに上半身を起こして座っている状態のが驚いたようにこちらを見つめていた。


「わっ！焦凍か、びっくりした。えへへ、またやっちゃったよ〜」


いつもどおり子供のような笑顔。
数分前にぶっ倒れたやつだとは思えない。
こっちの気苦労も知らずに、呑気なもんだ。


「...この間無理すんなって言ったばっかりだろうが。体調は大丈夫か？怪我は？」


「全然この通りよー！大丈夫！でもね、次の授業は出れなさそう。ほら、私の個性って電気系でしょ？上鳴に電圧で負けたくなくてplus ultraしようとしたら、キャパ超えちゃって...軽く感電しちゃったみたい」


えへへ...と弱々しく笑う様子を見て、ひとまず胸をなでおろす。

こいつは、見た目とは裏腹にかなりの負けず嫌いだ。
先日、爆豪とサシで派手に喧嘩をして学校中をざわつかせたくらいに。
（他クラスに多くいるファンの男どもの爆豪ブーイングが凄まじかった）


「それなら良かった。頼むから、あまり心配をかけないでくれ...」


緊張がとけて力が抜けた俺は、ベッド横の椅子に腰をおろした。


「わざわざ来てくれてありがとね。ほんとに優し...ひゃあっ！？」


刹那。俺がの頬に触れた瞬間の出来事だった。
華奢な肩がびくっと跳ね上がる。


「...わりぃ」


不意打ちに聞いた艶のある声に、動揺が隠せなかった。
そっと触れたつもりだったのだけれど。


「ごめっ...あのね、軽い感電状態だって言ったじゃん？一時的に神経過敏になってるみたいで...長時間正座をした後に足が痺れるやつ、あの状態が全身で発生してるみたいな...」


だから、触らないでほしいの...！と懇願してくるは、頬を撫でられた刺激で涙目になり、耳まで赤くなっている。
そしてそれは、どうしようもなく、俺の嗜虐心を刺激した。