第1章 マイマイ、アリス学園へ
マイマイと鳴海のいる場所は幸い別々であり、マイマイはとりあえず、鳴海から逃げられたと初等部の校舎の前でホッとします。
このあと、アリス学園の生徒に出口を聞こうとマイマイが行動したところ、1人で掃き掃除をしていた2つしばりの少女を見つけました。声を掛けるマイマイです。
「あの、こんにちは、ちょっと尋ねたいことがあるのですが」
「こんにちは」
「ふふっ」
笑顔が陽だまりのように明るく、可愛い少女にマイマイもつられてにこっと笑います。
「見かけない人ですね。うち、佐倉蜜柑(さくらみかん)言います~」
少女は自己紹介をし、掃き掃除を続けていました。
「初めまして、あたしはマイマイです。あたし、第5回人生やり直しツアーの企画に騙されてここに来てしまって……。蜜柑ちゃん、学園の出口ってどっちかわかるかな?」
と、マイマイが蜜柑に簡単に事情を話します。蜜柑は彼女に同情の眼差しを送ったあと、顔を下に向けました。
「マイマイさん、すみません。学園の出口のこと、あとにしてもらえます?」
「あ、いいよ、蜜柑ちゃん、全然あとでも。掃除中だったよね」
「うち、学園の教師に目ぇ付けられているみたいで、今日も授業中に先生に怒られて初等部校舎のバツ掃除をしていたところだったんです」
蜜柑はほうきを両手で持ったまま空を見上げます。
「えー、かわいそう、蜜柑ちゃん。ほうき、もう1本ある? あたしも手伝うよ」
少女を見て、胸がいっぱいになったマイマイでした。
「マイマイさん、ありがとうございます~」
蜜柑は笑顔でお礼を言ったあと、マイマイにほうきをもう1本、貸しました。