第1章 マイマイ、アリス学園へ
「蛍ちゃん、あの金髪の子のアリスって何?」
マイマイが少女にこっそり聞きました。
「アリスの能力者に触れてる間だけアリスをコピーできるアリスです」
と、蛍は答えたのでした。
「だから、さっき彼はあたしの肩に手を置いたのか。びっくりしたー」
「確かに君は、アリスを持っていないようだね」
櫻野が再びマイマイのところに来て言います。
「君を学園の出口から出ることを我々が許可しよう。鳴海先生がアリス学園じゃない生徒をたまに連れて来てしまった例は前にも何度かある」
「待って、じゃあ僕のアリスが効かなかったのはどうして……?」
鳴海は納得がいっていないようです。
「単に彼女自身が鳴海先生のアリスに掛かりづらいタイプだったからでは?」
と、蛍の兄の今井が言うと、鳴海はマイマイに1つ質問をします。
「失礼だけど、君は過去に大きな失恋か何かした経験があったのかな? 僕のアリスが効かないなんてよっぽどだったから気になった」
鳴海に尋ねられたマイマイは小さく頷きました。
「やっぱりか。ごめんね、アリスを持ってると勘違いして、しつこく勧誘して」
鳴海はマイマイに謝ったあと背を向け、どこかに行ってしまいます。