第1章 マイマイ、アリス学園へ
「だから、あたし、アリスなんて持っていないですってば」
と、両手を振っていました。
「無効化のアリスでないとしたら、彼女は何か防御の強いアリスの可能性がありますね」
金髪の肩にかかるくらいロングヘアの高等部男子生徒、櫻野秀一(さくらのしゅういち)と、
「マイマイさん、あなたがアリスを持っているかどうか、調べさせてもらいます」
黒髪のメガネをかけたもう1人の男子生徒、蛍の兄でもある今井昴(いまいすばる)がマイマイの前に来ます。
「………」
そのとき、蛍は兄の昴を一瞬、睨みますが、蜜柑とそのまま様子をうかがっていました。
「すまないね、すぐに終わるから。君の肩、ちょっと失礼」
櫻野はマイマイの肩に片手を置きます。
「!」
マイマイは表情には出しませんが、内心、年の近い男子に肩に手を置かれ、ドキドキしていました。
「鳴海先生、アリスを発動してみて下さい」
と、櫻野が鳴海に頼んだあと、鳴海はフェロモンのアリスを発動させます。
すると、マイマイは何も起こりませんでしたが、櫻野が顔を真っ赤にして気絶してしまいました。
マイマイたちは彼が鳴海のアリスの効果が切れるまで時間を待ちます。
「櫻野、どうだった?」
ようやく、櫻野が気が付いたあと、蛍の兄の今井が口を開きました。
「彼女からアリスを感じない。コピーが出来なかったからな」
今井の問いにそう答えた櫻野です。彼はまだ鳴海のアリスが効いていたか、顔が真っ赤でクラクラしています。
「佐倉蜜柑さん、悪いが、櫻野を助けてくれないか」
「はい」
「すまない」
と、櫻野は蜜柑の肩に手を置きました。すると、真っ赤な顔になっていた櫻野の顔は正常に戻ります。