第1章 マイマイ、アリス学園へ
「マイマイさんでしたっけ。初等部教師が失礼しました。彼はあれでもマイマイさんのように大失恋した経験があったみたいですよ」
と、頭を下げたあとそう言った櫻野です。
「鳴海先生……」
マイマイは去って行く鳴海の後ろ姿を見て切なくなっていました。蜜柑と蛍もマイマイと同じく切ない表情で鳴海の後ろ姿を見送ります。
「さあ、出口はこちらです」
「すみません。蜜柑ちゃん、蛍ちゃん、ありがとう!」
「マイマイさん、お元気で!」
蜜柑は笑顔で蛍と手を振っていました。
「蜜柑ちゃんたちも元気でね!」
一方、木の枝の上からこっそり様子をうかがっていた棗と流架はマイマイが学園の出口から出るまでそこにいたのでした。
アリス学園から出られたマイマイは、停車していた第5回人生やり直しツアーのバスを見つけます。
マイマイがバスに乗ったとき、運転手が申し訳なさそうな表情で声を掛けてきたのです。
「お客さん、私は間違ったアリス学園に来てしまったみたいです」
「へ? 間違ってないじゃないですか。アリス学園、あたし、さっき行ってきましたよ」
「お客さんが行っていたアリス学園は、第5回人生やり直しツアーで行く予定のアリス学園じゃなかったんですよ。アリス学園はアリス学園でも別の有栖学園(ありすがくえん)です」
「ええーーーーーーー!?!?!?」
マイマイは運転手のあまりのことに大声をあげてしまいます。