第3章 ③新門紅丸 甘
と、若の方を向くと…
『っち、近いです!』
「今、ここで呼ばねぇとその口ここで塞ぐぞ」
なんて言葉が周りにも聞こえたらしく、往来する人達がお!?紅ちゃんがに迫ってぜ!べにき、言っても塞いじまえ!なんて囃子立てるから、余計に顔が赤面するのがわかった。
「で?どうなんだ。するのかしねぇのか」
『ちょ、するしないじゃなくて、呼ぶ呼ばないでしょ!?』
「俺はどっちでもかまわねぇ。呼ばれれば満足。しても満足だからな」
どっちにしても、若が満足するんでしょうよ!!
『えっと…その、べ…に、まるさん』
「ん、それでいい」
嬉しそうに口角を少し緩めてゆっくり離れるのかと思えば、耳元にかすかな声が聞こえた。
「…夜もちゃんと呼べよ」
それだけ言って離れてた。ヨル、よる、夜!こ、こんなところで、な、ななななんて話を!?
「ほら、終いだ。仕事に戻れ!」
周りは、もっとやればよかったのに!と今だに盛り上がっている。
「もう手加減はしねぇ。は、俺だけ見てろ」
(お、おかえり。。顔赤くねぇか?)
(紺炉さん。若は)
(おい)
(ひっ、べ、紅丸さんは恐ろしい人です!!)
(どこがだ。こんなに可愛がってやってるのに)
(優しくしてやらねぇと、逃げちまうぞ。紅)