第4章 人生万事塞翁が虎
一人の少年が夕陽を浴びて立っている。
やがて、静かに目を閉じる少年。
「── 一杯の茶漬け·····」
夕陽の中、まだ目を閉じたまま立っている。
「旨かったなあ···孤児院の台所で、人目を忍んで食った茶漬けは···」
少年は力なく崩れるように四つん這いになった。
_僕の名前は敦···故あって、餓死寸前です
孤児院を追い出され、食べるモノも寝る処もなく、勿論金もなく
かといって盗みを働く度胸もなく···
しかし、もはや生きたければ、盗むか、奪うしかない···
"出て行け穀潰し!!
お前などこの孤児院にも要らぬ"
"どこぞで野垂れ死にでもした方が、世間様の為よ!"
「五月蝿い!
ぼくは死なないぞ、何としてでも生き延びてやる!」
意を決し、立ち上がる敦。
─次!次こそ···今度こそ!
『ねーえ、何してるの?』
ドキィッ!
「へっ、いや、あああの、え、えーとですねっ!」
(わぁ。凄い綺麗...。けど、どうしてだろう?何だか少し暈けて見える······?)
突如現われたニコニコ微笑む女性にどぎまぎしながら敦は目を泳がせていると視界が足を捕えた。
─·····足?
「えぇっ!?」
『わーお。』
驚き目を剥く敦と何処か嬉々とし、靴を脱ぎ出す女性。
「えっ?な、何してるんですか!?」
『んー?お迎え♡』
「ちょ、え、まっ、ぼ、僕っ、僕行きますっ!」
『へっ?』
「えぇーい!」
ドボン
ポカンとする女性。
『えぇ!?嘘でしょ!...ふふっ、あははは!』
結果的に───人命救助?