第8章 運命論者の悲み
「そこまで云うなら見せて貰おうか。その能力とやらを!」
「おや。それは依頼かな?」
「失敗して大恥をかく依頼だ!」
「あっはっは 最初から素直にそう頼めばいいのに」
「ふん、何の手がかりもないこの難事件を相手に大した自信じゃないか。60秒計ってやろうか?」
「そんなにいらない」
『敦君よく見てて』
「探偵社を支える能力だ」
(乱歩さんの異能……"事件の真相が判る能力"
本当にそんなものがあるのか……!?)
乱歩は眼鏡をかけた
──【超推理】
チャッ
「…………………………な・る・ほ・ど」
「犯人が判ったのか」
「勿論」
「くくっ どんな牽強付会が出るやら……犯人は誰だ?」
乱歩指を指した
「犯人は君だ」
その先に居たのは杉本巡査
「は──?」
「くっ……くっははは!!おいおい 貴様の力とは笑いを取る能力か?杉本巡査は警官で俺の部下だぞ!」
どっと笑う箕浦
だが乱歩は云う
「杉本巡査が
彼女を
殺した」
「莫迦を云え!大体こんな近くに都合良く犯人が居るなどと……」
「犯人だからこそ捜査現場に居たがる。それについて云わなかったっけ?"どこに証拠があるかも判る"って」
乱歩は杉本巡査に手を差し出し云った
「拳銃貸して」
「ば、莫迦云わないで下さい、一般人に官給の拳銃を渡したりしたら減俸じゃ済みませんよ!」
「その通りだ。何を言い出すかと思えば……探偵って奴は口先だけの阿呆なのか?」
「その銃を調べて何も出なければ僕は口先だけの阿呆ってことになる」
「……ふん。貴様の舌先三寸はもう沢山だ。杉本見せてやれ」
「え?ですが」
「ここまで吠えたんだ。納得すれば大人しく帰るだろう。これ以上時間を無駄にはできん。銃を渡してやれ」
「……………」
杉本巡査は噤む
「おい どうした」
「…………ッ」
「何を……黙っている杉本」
「彼は考えている最中だよ。」