第6章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
バンッ
「すンませんでした!」
──武装探偵社が入っているビルの一階に居を構える喫茶店ーーー《うずまき》
に、響くは青年の謝罪
「へ?」
「その 試験とは云え随分と失礼な事を」
「ああ いえ 良いんですよ」
(意外と良い人だ この人······)
「何を謝ることがある。あれも仕事だ 谷崎」
「国木田君も気障にきまってたしねぇ
"独歩吟各"!」
国木田の顔真似をする太宰
「ばっ······違う!あれは事前の手筈通りにやっただけで!」
『えー?でもかっこ良かったよー国木田くん!』
「え?あ ああ、そうか?」
照れる国木田
「国木田君狡ーい!猗憐!私は!私はかっこ良かったかい!?」
『治なんかしてたっけ?』
ショックを受ける太宰
「ともかくだ 小僧。貴様も今日から探偵社が一隅。ゆえに周りに迷惑を振りまき社の看板を汚す真似はするな。
俺も他の皆もそのことを徹底している。なあ 太宰」
「あの給仕さん美人だなぁ。けど矢張猗憐には遠く及ばないね!ってことで私の頸を絞めてくれ給え!いや、心中してくれ!」
「黙れ迷惑噴霧器」
『却下。治と死ぬくらいならあのイケメンの給仕さんと死ぬ······冗談だって!』
太宰から微かな黒い気を感じ取る猗憐
「大体お前はいつも───」
始まる 国木田の説教
「ええと 改めて自己紹介すると······ボクは谷崎。探偵社で手代みたいな事をやってます。そンでこっちが」
「妹のナオミですわ」
兄の腕に腕を絡めるナオミ
「兄様のコトなら······何でも知ってますの」
「き──兄妹ですか?本当に?」
「あら お疑い?勿論どこまでも血の繋がった実の兄妹でしてよ······?このアタリの躯つきなんてホントにそッくりで······ねえ 兄様?」
「いや でも······」
ポン
「(こいつらに関して深く追求するな!)」
「(あ······はい)」
「そう云えば猗憐さんは太宰と良く居ますよね···?兄妹?にしては似てないですよね」
「良く聞いてくれた敦君!私と猗憐は」
『仕事仲間、同僚、
「うっ何方も同じ意味だよ······」
───』
間を空け放った一言は誰にも聞こえなかった