第3章 淫らな薬*(♡マーク使います)
カタンと夜遅くの塔に、そんな音が響いた。
塔には窓がない。
いや、ないというよりはめ殺し式の格子窓があるだけで、開いたりするような窓じゃない。
だからこそ、侵入されたら内側から追い出すことは不可能な塔の造りは、本当に凶悪だった。
「ん……?」
頬に風が当たり、ミシェルが目を覚ます。
月の影に潜んだ男が寝ていたミシェルの肩に手を伸ばし……
「!? ひっ! きゃぁっんぅ……!?」
恐怖と混乱で頭が働かない。
抵抗するミシェルをたやすく押さえつけた男、宮廷調薬師ヘズがミシェルの顎を跳ね上げ、乱暴に口付けた。
ミシェルの目に涙が浮かび、必死に抗う腕は頭の上でまとめられ、開かせた股の間にヘズの膝がいやらしく擦り付けられる。
「ん! んんーっ! は、ぁむっ…!?」
ミシェルの口の中を執拗にほどむさぼるヘズが、ミシェルに何かを飲ませる。
喉を反らさせられ、ごくんとそれを飲み込んでしまった。
「なに、を……! ヘズさま……」
「私のことを知っていたか、聖処女」
ええ、知っている。
ヘズはミシェルの想いびとレグルの友人。
外交官のレグルと薬剤師ヘズは二人とも頭の切れる者同士仲がいい。