第2章 絡まった糸は柔らかな手で解けばきっと
訓練を再開して早三日。
訓練が終わったら殆ど気絶状態で眠って、朝起きて訓練を始めて、の繰り返し。正直しんどすぎて何度か心が折れそうになった。
勿論それは、俺自身の弱さに打ちのめされていたのが殆どなんだけど。
はぁ・・・小乃実ちゃんと出会うと知っていればもっとじいちゃんの修行あんなに逃げなかったかもしれないのに。
なんて、今更な後悔が脳に付きまとう。
三日目にしてようやく少し身体が慣れて来た。
今夜なら、小乃実ちゃんに会いに行くことが出来そうだ。
小乃実ちゃんの顔を思い浮かべながら、後少しで落ちる太陽を背に、俺は深呼吸をして改めて鍛錬に集中する事にした。
「なぁ、善逸。やっぱり何かあったのか?」
唐突な炭治郎の後ろからの呼びかけに思わず肩が反応する。
「な、ななな、なんだよぅ。いきなり話しかけるなよ炭治郎~!」
「ここ数日、善逸の頑張りは何て言うか・・・切羽詰まってる感じがして。もし俺に出来る事があればいつでも話してくれよ」
「ありがとな。でも、今はまだ言えない。その時になったら話すから。伊之助にも・・・多分」
「あァ!?多分てなんだ多分て!大体俺はお前の事なんざ知らねーし知る気もねェよ!」
はは、と苦笑いで軽く濁す。
いつか、きっとこいつらも小乃実ちゃんと会わせてみたいな。
話し相手も増えるし、鬼殺隊皆が敵じゃないって事も知って欲しいから。
だけど、今は・・・
今は二人だけで小乃実ちゃんと話をしたいんだ。
頼むから邪魔しないでくれ!
俺の思惑などまるで無視の空は、太陽を飲み込みあっという間に紺色の帳が迫って来ていた。