第2章 絡まった糸は柔らかな手で解けばきっと
どちらかと言えば聞かれて困るのはしのぶさんの方なんじゃ・・・
そう心の中で思ったけど、話が出来る事になったのは有り難い。
アオイちゃんに一礼をした後、俺はしのぶさんについて診察室まで向かった。
「それで?急ぎで私に用って、なぁに?」
診察用の椅子に座らされ、向かい合わせでしのぶさんがおっとりと微笑む。
普段ならこの女神の様な笑顔に、思わずのぼせてしまうけど今はそんな場合じゃない。
軽く深呼吸をした後、俺は話を切り出した。
「しのぶさん、はっきり聞いちゃいますけど・・・この屋敷の地下、どうして女の子が監禁されているんですか?」
しのぶさんの目が丸く見開かれている。
少しの間の後、いつもの表情に戻ったしのぶさんは答えた。
「善逸君は、あの子を見ちゃったのね・・・」
「夕べ、夜遅くに泣き声が聞こえて・・・それで・・・」
何故か悪い事をしてしまった時の様な気分になり、言葉がしりすぼみになる。
しのぶさんの口から出てきた言葉は、少し意外な言葉だった。
「あの子・・・可哀想、ですよね。どうして彼女があそこにいるのか、知っていますか?」
「はい。夕べ牢越に話をして、彼女がここに監禁されている理由と、鬼殺隊との話も大体は・・・」